2025年12月16日

愚かさに国境はない:異様なタイトル

ネット上に変な見出しの記事があらわれた。
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『スタンド・バイ・ミー』元子役の死を受け、ロブ・ライナー監督が追悼
シネマトゥデイ によるストーリー  2025年12月16日

ロブ・ライナー監督夫妻の殺害には驚いたが、それの関連のニュースだと思うのだが、「『スタンド・バイ・ミー』元子役が死亡したロブ・ライナー監督を追悼」というのならわかるが、「ロブ・ライナー監督が、『スタンド・バイ・ミー』に子役として出演していた俳優が亡くなったことを追悼したことがある」という意味の見出しは、いまそれをわざわざニュースとして伝える必要があるのかと疑問に思いつつ、どんなことかとつい記事を全部読んでしまった。

以下、この見出しがいかにとんちんかんなのかを確認していただきたく、全文を引用する:
 映画監督のロブ・ライナーさん(78)と妻ミシェル・シンガーさん(68)が現地時間14日に米カリフォルニア州・ロサンゼルスの自宅で遺体で発見されたことを受け、ライナー監督が手掛けた映画『スタンド・バイ・ミー』に出演したキャストが、追悼のメッセージを発表した。

 『スタンド・バイ・ミー』で冒険に出る4人の少年のうち、ぽっちゃり気味の少年バーンを演じた俳優のジェリー・オコンネルは、People.comに「私たちみんながショックを受けています。彼ら(ウィル・ウィートン、コリー・フェルドマン)の代わりに話すことはできませんが、私にとっては両親を亡くしたような気持ちです」とコメント。

 「私の人生の全ては、ロブ・ライナーのおかげで得たものなんです。子供たちも、妻も、全てです」というジェリーは、『スタンド・バイ・ミー』の撮影当時、ライナー監督が子役だった彼らを守ってくれたとも語り「彼は私たちをまとめ、しかもそのやり方は、教師や権威を持った人々のものとは違った。彼はただ特別だった。本当に優しい魂を持った特別な人だったんです」と言葉を寄せている。

 また、メガネ姿で皮肉屋のテディを演じたコリー・フェルドマンは、X(旧Twitter)で、今回の件について「ひどいニュースだ」と投稿し「ショックと悲しみに包まれています。ロブ、あなたを愛しています。本当に寂しい」と追悼。ライナー監督について「彼は私たち全員に愛と慈悲を意味のある形で示してくれた、素晴らしい方でした。彼はそうして私たち4人の子役との間に絆と信頼を築き、人間的でエモーショナルな演技を引き出してくれたのです。ポジティブな役割/父親像を必要としていた私たちにそれを示すことのできる数少ない監督でした。このように恐ろしい形であなたの命が奪われたことに、心からお悔やみを申し上げます」とつづっている。

 さらに、不良グループのリーダー、エースを演じたキーファー・サザーランドは、訃報を受けて「心が打ち砕かれている」とInstagramに投稿。「ロブは一緒に仕事をする喜びを得たなかでも、最も親切で紳士的な方の一人でした。ほんの若造だったころに、人生を変える機会を与えてくれたこと。永遠に感謝します」と追悼している。

 Los Angeles Timesなどによると、ライナー監督とミシェルさんの遺体は、現地時間14日に娘のロミーさん(20)によって発見された。二人には刺されたとみられる傷があり、ロサンゼルス市警は二人を殺害した疑いで、息子のニック・ライナー(32)を逮捕したと発表した。(編集部・入倉功一)

ということで、この記事そのものに問題はない。となると、あの見出し「『スタンド・バイ・ミー』元子役の死を受け、ロブ・ライナー監督が追悼」はいったい何だったのだろう。

もしAIがこの見出しを作ったのだったら、記事内容と異なるので訂正しないといけない。もし、意図的に変なタイトルをつけて、私のような読者を騙そうとしたらなら――たとえ、思わせぶりなタイトルで読者の注目を浴びようとすることはよくあるとはいえ――、内容と反するタイトルなので絶対にしてはいけないことである。

ちなみに記事の表記にも問題がある。「ロブ・ライナーさん」と「妻ミシェル・シンガーさん」にみられる「さん」付け。有名人には「さん」をつけない。もし執筆者が、その有名人と知り合いで「さん」付けで呼びたくなったとしても、その場合も「さん」は付けない。

実際、この記事では、追悼している元子役たちに対しては、すべて呼び捨てである。この記事の様式/文体で考えれば、なぜ元子役たちを「さん」付けしないのかわからない。

「ロサンゼルス市警は二人を殺害した疑いで、息子のニック・ライナー(32)を逮捕したと発表した」とあるが、息子は「さん」付けしないのか。有罪が確定していない容疑者であり推定無罪の人物を、罪人扱いで呼び捨てですか。結局、ルールも統一性になにもない書式で書いているから、こんなわけのわからない見出しも気づかずにすませてしまうのだろう。
posted by ohashi at 21:28| コメント | 更新情報をチェックする