日本各地で、車のサイドミラーが猿によって持ち去られるという事件が多発している。
各地で話題になっているのだが、猿が食べ物以外のものを持ち去るというのは珍しいとのこと。
原因はよくわからないが、専門家と称する人たちの意見をメディアは紹介していて、猿は、鏡に映る自分の姿を自分だと認識できないので、敵だと思っているのではないかということだった。
本日のミヤネ屋でもこの話題を取り上げていてたが、そこでは、もともと猿は光るもの輝くものあるいは鏡など好きなのだが、群れ全体で、鏡(サイドミラー)を所有するのが一大ブームとなって、車のサイドミラーをもぎ取るようになったのではないかという説明がなされていた。
動物は鏡に映る自分の姿を認識できないといわれているが、はたしてほんとうにそうか。番組では、路上反射鏡というかカーブミラーを触っている猿の映像も流していたが、敵を攻撃しているようにはみえなかった。これは私の主観だが、猿たちは可能ならばカーブミラーを外して持ち帰ろうとしているようにもみえた。
猿は鏡が好きではないか。そう思うのも、ラトヴィア・ベルギー・フランス合作の長編アニメ映画『Flow』(ギンツ・ジルヴァロディス監督、2024年)を観たからである。動物しか登場しないこのアニメ映画のなかで、マダガスカルに生息しているワオキツネザル(輪の模様のついている尾っぽを持つ猿)は手鏡のようなものをみつける。そしてそれを宝物のようにして持ち歩き、仲間の猿にも見せていた。鏡に自分の顔がうつっても、とくに驚いているようにもみえなかった。
もちろん映画はフィクションであり、鏡を大事にするワオキツネザルの行動にはアレゴリカルな意味があるのかもしれないが、映画の中に登場するカピバラの生態を研究するために、監督は、日本の動物園にまで来て観察したくらいなので、登場する動物たちの行動には、現実の裏付けがあることもまた確かであろう。だとすれば猿は、鏡が好きなのである。
そもそも動物は、たとえば川面に映る自分の姿をみて、自分だと認識できるのではないか。自然界にあるもので鏡のように動物に対してその姿をうつしだすものは多い。川面に映る自分の姿を他人と勘違いするのは、人間のなかでも頭の悪い、ナルキッソスくらいではないか。
動物あるいは猿は、鏡に映る自分の姿を認識できないという定説はすでに定説ではないのかもしれない。
【これは、いわゆるミラーテストと関係する。ミラーテストそのものの信憑性は100%ではないものの、これまでの実験例で、パスする動物(魚を含む)は多い。鏡に映る自分の姿をみてそれが自分だと認識できたらこのテストにパスするのだが、自然界には鏡のように姿を反射するものは多い。水辺に水を飲みに来て水面に映る自分の姿を敵とみて攻撃していたら、いつまでたっても水が飲めず、死んでしまうのだが、そうならないのは自己認識ができているからであろう。】
