「バーベンハイマー」まさかの映画化
シネマトゥデイ によるストーリー 2023年11月06日
インターネット・ミームとなった「バーベンハイマー」が、人間を破滅させるために原子爆弾を作るファッションドールの物語として、パロディ映画化されることになった。
バーベンハイマーは、一面ピンクのグレタ・ガーウィグ監督作『バービー』と陰鬱なクリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー(原題) / Oppenheimer』という2作のタイトルを掛け合わせた言葉。正反対の作風の話題作2作が同日公開されるということで生まれた「バーベンハイマー」は海外で社会現象となり、それぞれ世界興行収入14億4,152万8,220ドル(約2,162億円)、9億4,748万1,000ドル(1,421億円)を上げる大ヒットを記録した。(数字は Box Office Mojo調べ、1ドル150円計算)
その「バーベンハイマー」というアイデアをそのまま映画にしてしまうことにしたのが、数々のB級映画を世に送り出してきたチャールズ・バンドだ。【中略】終わりのない夏とビーチパーティーが続くドールトピアを舞台にした『バーベンハイマー(原題)』の主人公は、トゥインク・ドールマンを彼氏に持つ聡明な科学者人形バンビ・J・バーベンハイマー博士。バーベンハイマー博士は人形たちが人間の子供たちから受けている残忍な扱いに激怒し、人間世界へ向かうことに。しかし、そこで人間の最悪な面を見たバーベンハイマー博士は、人間たちを破滅させるため巨大な核爆弾製造を決断する……というストーリーだ。【以下略】
「バーベンハイマー)」は、原爆の炎(映画『オッペンハイマー』由来)とバービー(映画『バービー』)とのコラージュ画像。この“おもしろ画像”が投稿されたとき、そうした画像に映画『バービー』の公式アカウントが肯定的な反応を送ったことから、日本側から猛烈な抗議の声があがった。
だが『バービー』の公式アカウントの無神経な反応がなければ、バービー人形と原爆とのコラージュは、ある歴史的真実をあぶりだしていたはずである。バービー人形が誕生したのは1959年。アメリカのミッド・センチュリー・モダンのまっただなかの1959年はまた、冷戦のまっただなか、軍拡競争のまっただなかでもあった。
この時期、米ソの軍拡競争のなかで、水爆実験が世界中でおこなわれていた(ちなみに水爆は、その第一段階において原爆を起爆する、つまり原爆と水爆は連動していた)。バービーの歴史的バックグラウンドは水爆実験である。そしてそれは1963年の部分的核実験禁止条約まで続いた(完全に実験がやめになったわけではなかったものの)。
バービーと原水爆は、おもしろ画像のコラージュを待つまでもなく、密接な関係があった。バービー人形の人工的な笑顔の背後では、水爆実験の爆風が地球の大気を確実に汚染していた。オッペンハイマーとの結びつきで広島・長崎に投下された原爆へとむすびつけられたバービー人形だが、ほんとうは、原水爆実験時代の、まさに顔だったのだ。このことは忘れてはならないだろう。
