2022年06月04日

マナー講師 続

視聴者からのクレームほどあてにならないものはない。『チコちゃんに叱られる』におけるマナー講師平林都の指導がパワハラだと炎上した件。私が思い出すのは、『はじめてのおつかい』である。

『はじめてのおつかい』は日本テレビが不定期に放送しているバラエティ番組。

「日本テレビ系列で1991年から不定期に放送されているバラエティ番組。幼い子供が「おつかい」に初めて出かける様子を、テレビクルーが隠れて撮影する。2022年5月時点で合計74回放送され、30年以上続く長寿番組となっている」(Wikipedia)。。

2000年からアジア、ヨーロッパ諸国に番組販売や現地版製作許諾が行われているほか、Netflixで世界約190カ国向けにダイジェスト版『Old Enough!』(もう大きいもん)の配信が2022年3月から始まった]。

『はじめてのおつかい』が世界規模、国際的な場で人気番組となったのは、信じられない、まさに驚きである。

というのもずいぶん前のことだが、20世紀のことだったかもしれないのだが、日本テレビのある番組で、当時、人気番組であった『はじめてのおつかい』を外国人(主にアメリカ人だったような記憶がある)に見せて、感想を求めたところ、外国人の反応は一様に否定的だったので、私は驚いた記憶がある。

たとえばアメリカには、幼い子供をひとりで、あるいは子供だけで買い物に行かせるという習慣はない。しかも治安の悪い街中を幼い子供だけで移動することは、無謀すぎる。たとえ周囲で大人が距離を保ちながら監視と護衛をしているとしても、見ていてハラハラする。その危険で無謀な試みには、不快感すら抱く――といった感想は、きわめてまっとうなもののように思われた。

ところがいまや、この『はじめてのおつかい』が海外で配信され人気番組になっている。そのうえ各国で同様の番組を独自に制作すらしている。おつかいの習慣がない国で、おつかい習慣が生まれてもいるらしい。となると、私が以前、同じ日本テレビの番組を通して知った、外国人の否定的評価は何であったのか。

『チコちゃんに叱られる』におけるマナー講師の厳しい指導については、それを不快なパワハラと感じた視聴者がいたのだが、いずれ時がたてば、そうした厳しい指導のほうが、面白がられたり好意的に評価されるかもしれない。おそらくそうなることはまちがいないだろう。

結局、不快に感じた視聴者は、自分自身が、マナーを知らない無知な人間であることを思い知らされて、反撃に転じたといえなくもない。しかしバラエティ番組のギャグであり冗談企画を面白がることすらできない視聴者の狭量な精神は、一挙手一投足に文句をつけるマナー講師の器量の乏しさ(ただしギャグとして誇示している)と通じ合っている。彼らにパワハラを批判する資格はない。

とはいえ、『はじめてのおつかい』を海外ではいまも問題視していることを、Wikipediaが報告している。最近の『はじめてのおつかい』の海外での人気を紹介して絶賛する報道姿勢は、どこか胡散臭いのであり、批判的意見の存在を知らせるか考慮すべきだと思う。

とはいえ、『はじめてのおつかい』を海外ではいまも問題視していることを、Wikipediaが報告している。最近の『はじめてのおつかい』の海外での人気を紹介して絶賛する報道姿勢は、どこか胡散臭いのであり、批判的意見の存在を知らせるか考慮すべきだと思う。

そのため『チコちゃんに叱られる』のマナー講師のやり方に批判的な意見は、いまでこそ、炎上目当ての面白半部の悪辣な暴挙として封印されそうな勢いだが、根強く批判しつづけ、批判の痕跡を絶やさないでいれば、将来、批判する声が優勢になるかもしれないので、ただの面白半分ではない、炎上路線ではない批判は、絶やすことなく、継承することは無意味ではあいと思われるのだが。
posted by ohashi at 23:16| コメント | 更新情報をチェックする