The Death of Ian Stones(2007)
87分の英国・米国合作映画。タイム・ループ物映画かと思い――日本語のタイトルそのものは、まさに『ハッピー・デス・デイ』の男性版としか思えなかったこともあり――、観てみたが、違った。
重厚かつスタイリッシュな映像をたたみかけてくる導入部、主人公の男性が殺され気づくと、パラレルワールドで生きている。パラレルワールドというのは、場所や環境や状況は変わっても同じ人物がまるで、あるエピソードのアダプテーションかのように反復される。その圧倒的な謎と神秘に期待は膨らむが、途中から、失速する。
人間の死に瀕したときの恐怖の感情を糧に生きているハーヴェスターという闇の一族(clan)に属する主人公は、一族を裏切ったために、彼らに付け狙われることになる。ハーヴェスター一族は現実改変能力をもっていて、彼らが主人公の青年を殺しては、べつの現実に蘇生させて、また殺すのは、どうやら裏切り者への懲罰らしい。青年を、この拷苦を救ってくれる鍵を握る一人の女性がいて……。
なんとう安っぽい設定なのだ。まあ『ダーク・シティ』のような映画と思えばいいのだが、それよりも設定がうすっぺらい。『アンダーワールド』のようにシリーズ化を狙っていたようなふしもあるが(最後に主人公は、逆に人間になりすましたハーヴェスター一族を狩りだすハンターとなっていくのだから)、これ一作で終わっている。
『華麗なるペテン師たち』にレギュラーで出ていたジェイミー・マーレイが魔女的な役で出ているが、それ以外に知っている俳優はいない。
ただ、それにしても劇場公開映画というよりも、テレビドラマあるいはテレビ映画的なところがあって、イギリスでは、こういうドラマがよく作られている。面白い設定とも思えないのに、繰り返しつくられるのはどうしたわけか(とはいえすぐに類似した作品のタイトルが出てこないのだが)、これはほんとうに謎である。
2022年03月13日
『今日も僕は殺される』
posted by ohashi at 21:01| 映画 タイムループ
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