2021年01月06日

禁断の味

ほんとうは、この記事は書いてはいけない記事だと思うので、まさに禁断の記事である。というのも、もしここで書いてあることを実践して、食中毒になったり、下手をして命を落とすようなことになれば、記事の執筆者としての私の責任が問われるからである。だから、書いてはいけない記事なのだが、具体的なことを伏せて書けば、まねする人もいないだろうと思い、禁断の味についての禁断の記事を書く。

Don’t try this at home.

ふだんから食べているものではあるのだが、暮れとか正月にもらったりすることも多い食品のひとつを、私が子どもの頃、もらったことがある。私ではなく、私の家族宛てに。

食べ方もわかる。わからない人はいない。高級品だったが、ふだん食べている食品の高級品ということで、味についても、べつに珍しいものではない。

ところが、それをもらった年(毎年もらっているというわけではない)、たまたま祖母が、こういう食べ方もあると話しくれた。それは両親にとっても、私にとっても、はじめて聞く話だったが、ためしに祖母がいうとおりにして食べてみた。

Don’t try this at home.

すると、これがめちゃくちゃうまい。予想される味ではあったが、食べ方によって、こんなにうまくなるものだと驚いた。

驚いたが、しかし、以後、その食べ方はしなかった。両親が話しているのを聞いたが、この食べ方は危ないということだった。幸いにして、誰も、お腹を壊したりしなかったが、この食べ方をしていたら、いつか食中毒のようなものになるかもしれない。そのため、やめたほうがいいということになった。祖母が私たちに伝えてくれた食べ方だが、ひょっとしたら昔の人は、こういう食べ方をしていたのかもしれない。

Don’ t try this at home.

結局、その食べ方をしたのは1回だけ。とても美味だったが、1回だけで終わった。しかも、具体的に書くと、その食べ方で食べる人が出たりして、食中毒にでもなったら、絶対に、その食べ方はしないように、危険だからと力説しても、私の責任になる。

べつに危険だから、かえってうまく感じたということではない。また、1回でやめたので、よけいにうまかったという記憶が残ったかどうかは定かではないが、その味は、いまでも覚えている。禁断の味についての、禁断の記事である。
posted by ohashi at 16:09| エッセイ | 更新情報をチェックする