2020年03月25日

『男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―』

ALL REVIEWSのほうから、以前、書いた書評を再録させてほしいという連絡がはいったので、許可。

ALL REVIEWSは、インターネット書評無料閲覧サイトで、活字メディア(新聞、週刊誌、月刊誌)に発表された書評を再録するサイト。

『論座』2001年5月号に掲載された書評で、対象となった書籍は、

『男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―』
著者:イヴ・K・セジウィック  翻訳:上原 早苗,亀澤 美由紀
出版社:名古屋大学出版会  単行本(394ページ)
発売日:2001-02-20
ISBN-10:4815804001  ISBN-13:978-4815804008


私の書評は、以下のサイトで2020年3月16日から読むことができる。

https://allreviews.jp/review/4320

古い書評なので、何を書いたのか忘れていたが、今からおよそ20年前の私は、けっこう発想がさえているというか、発想がちょっといやらしくて、最初のつかみの部分で、こんなことを書いていた。

版権の問題もあって、ここに転載できないのだが、書評の冒頭の内容を伝えると、

大学院入試の用語解説問題で、「ホモソーシャル」を選択肢のひとつに加えた。もっとも多くの受験生が選んだ設問は「モダニズム」。「ホモソーシャル」を選んだ受験生はゼロだった、と

これは私が協力教員として関わっていた現代文芸論研究室の大学院の入試問題である。いまもこの形式の問題を出題しているかどうは不明。また、その書評には書いていないが、モダニズムを選択した受験生が、多く合格したわけではないと思う。

「モダニズム」というのはけっこう難問だが、紋切り型の文学史的記述が定着しているのかもしれず、予想可能な問題だったようだ。これに対して「ホモソーシャル」というのは、そんなにむつかしい問題ではない。同性愛を描く作品ではなくても、多くの文学作品では、異性のみならず、同性どうしの関係を描いているので、それをとりあげて、主題など簡単にコメントしつつ、あらすじを書くだけでも、まとまった論述になる。だから、ある意味、楽勝問題なのだが、いかんせん、当時は、「ホモソーシャル」という言葉を知らない受験生が多かった。それにしても、この設問を選択した受験生がゼロだったとは。

まあ、このセジウィックの翻訳書も2001年に出版されたことだし、いま、同じ問題を出せば、様相は異なるかもしれない。

そして、その書評のつかみの部分の癖の強さは、いまとなっては、それが自分自身から失われてしまったことを痛感している。Imagination Dead, Imagineというのはサミュエル・ベケットのフレーズなのだが、私のフレーズは、Imagination Dead, Alas!である。
posted by ohashi at 18:51| 推薦図書 | 更新情報をチェックする