2015年01月01日

元旦2

雑煮
私の母や山口県出身なのだが、名古屋に嫁いできたとき、山口県の丸餅の雑煮を作ろうとしたら、当時の名古屋には丸餅などなかった。切り餅、角餅しかなくて、名古屋の雑煮の風習に従うことにした(いまでこそ、丸餅も角餅の日本中、それもいつでも手に入るのだが、昔は流通が限られていたのだ)。私は子供の頃から、名古屋の雑煮を正月に食べているのだが、これがほんとうに質素なもので、餅と、もち菜だけの雑煮。ちなみに「もち菜」とは何かと疑問に思うかもしれないが、これは小松菜に似た野菜。関東に来てからは、もち菜がないので小松菜で代用しているが、まあ、小松菜の一種とみていい。小松菜とは違うということを強調しているネット上の記事もあったが、ほうれん草よりも、小松菜にずっと似ている。もち菜の雑煮とは、まあ小松菜だけの雑煮を想像してください。

私が英文科の助手をしていたとき、指導教官だった小津次郎先生と、唯一、話があったのは、この正月の雑煮話で、お母様が名古屋出身だった小津先生は、正月には、名古屋の雑煮を食べていたということで、その質素な雑煮話でもりあがった。日本で一番、質素な雑煮である。いや、雑煮を食べるのは日本だけだろうから、世界で一番質素な雑煮である、と。

なぜ質素な雑煮かというと、未確認情報だが、これは戦国時代の質実剛健な気風を失わないために尾張徳川家(あるいは尾張の武家)では正月に質素な雑煮を食べたとのこと。その後、正月2日以降は、尾張徳川家では、豪華な雑煮なりごちそうを食していたらしいのだが、庶民は、元旦と同様、質素な雑煮を正月三が日も食べ続け、それが風習となった。

母は、この質素な雑煮を嫌がっていたが、まあ郷に入っては郷に従えと、質素な雑煮で我慢していた。ちなみに母が山口県の雑煮として想定していたものは、中にアンコが入った丸餅の雑煮である。ちょっと食べたくなくなる雑煮だが、山口県で、この雑煮を食べた人に聞くと、想像するよりも変な雑煮ではないようだ。

それはともかく、私としても具だくさんの豪華な雑煮というのは、雑煮ではないと思うようになって食べたくもなくなった。そうこういっているうちに糖尿病なので、いまや雑煮を食べることもなくなったのだが。

posted by ohashi at 17:43| 日記 | 更新情報をチェックする