つい先日、同様な記事は、いろいろとあるのだが、たとえばメタボ体型にならないようにしましょう、そのためには意志をしっかりもちましょうというような記事を読んだ。脱法/危険ハーブは、危険なので、意志をしっかりもって使用しましょうというのと同じで、無意味な提案である。
メタボ体質になることと、脱法/危険ハーブ問題は、たんなる比喩ではなくて、まったく同じ問題であることは認識せねばならない。
食品業界がつくる加工食品あるいは外食産業が提供する料理、どれも、テレビのコマーシャルではなはないが、おいしいものは糖類と脂肪から出来ている。ちなみに、食品業界というのは、消費者を確保するために依存性の高い添加物を使っているということを告発するアメリカの本が翻訳されているが、おそらく、そうした危険な添加物を使用しなくても、糖分とか糖質、そして脂質をたくさん使えば依存性は高まる。食品業界の戦略によって、メタボ体質の人間はふえるばかりである。メタボ体質こそ、食品業界の勝利の証しである。
そしてこれは脱法/危険ハーブの販売の手口と同じである。最初は、安く売る、時には無料配布する。そうして買い手を依存症にすれば、たとえば購入してから自宅で使うのではなく、すぐに車の運転中でも使いたくなるほどの依存症にすれば、もうあとはほうっておいても、永続的に購入しつづける。人間をやめても使いつづけるということだろう。
通常のドラッグよりも依存性ははるかに高いようなので、脱法/危険ドラッグは、誰にもやめられない。強い意志によって、絶てとは、誰にも言えないだろう。タバコだってやめられない人間が多い中で、脱法/危険ドラッグ使用者に自分の力でやめろというのは酷である。それは誰にもできない。恐ろしいのは、脱法/危険ドラッグの使用者は、意志の力でいつでもやめられると思い込んでいるらしいのだが、私も喫煙していた頃、まだいつでもやめられると思っていた。まだやめられると思っているときは、もう完全に依存症になっているのである。
脱法/危険ハーブを使用しはじめたら、いかなる意志の力でもっても、やめるのがむつかしいが、それほど強い意志をもたなくても、手を出さないという選択は可能である。手を出したら終わりであるが、危険を避けるということは簡単にできる。また自分は意志が強くないという自覚をもつべきである。意志が強いと過信している人間に限って、はまりやすいのだから。
しかし通常の食品はどうか。夏、砂糖を大量につかった清涼飲料水が売られている(私は水かお茶しか飲まないが)。糖分が入ると、ますます水分が欲しくなる。こうして甘い清涼飲料水依存症になれば、食品業界、万々歳である。糖分の誘惑から逃れるのは、糖尿病にでもなって自分の健康が損なわれると自覚しない限り、不可能である。糖分、脂肪分の誘惑は、日常化して、空気のようになっていて、そこから逃れるのは、脱法/危険ハーブ使用者がやめること以上に、むつかしくなっている。
脱法/危険ハーブに手を出さないことは、軽い意志の力でできる。しかし食品業界の罠から逃れることは、誰にもできない。神様に依存するかしないのである。