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『黄金の驢馬』が、一冊になって岩波文庫から今月出版。嬉しい。岩波文庫ではアプレイウスの『黄金の驢馬』の2巻本を持っていた。初版が1956年と57年だが、印字はきれいで読みやすかったので、再販本だったと思う。というのは手元にそれがみつからないからで、2巻本に限らず、複数巻になる文庫本は、片方が、あるいは数冊が行方不明になり、そろわなくなることが多い。今回アープレーイユス『黄金の驢馬』として一巻本になったので、読み返してみようかと思う。
アプレイウスというかアープレーイユスの『黄金の驢馬』は、その幻想シーンは、私の想像を絶する驚異的なもので、ローマ時代に、こんなすごい物語が書かれていたのかとほんとうに驚いたことがある。昔、ホフマンの幻想小説(『黄金の壺』だったか、『悪魔の美酒』だったか忘れたが)を生まれて初めて読んだ時に、その幻想シーンに衝撃を受けたのだが、その衝撃が『黄金の驢馬』を読んだときによみがえった記憶がある。
また昔イギリスにいた頃、オックスフォードだったと思うが、そこの古書店(専門書というよりは一般書のほうが多い)で、『黄金の驢馬』The Golden Assの英訳の古い版をいくつか陳列してて、目玉商品扱いしていたことを憶えている。そのなかにはビアズレーが挿絵を描いた版も含まれていた。だから人気があるのかとその時は思ったが、もっと端的な理由があることは、読んでみてはじめてわかった。これ以上は言わない。
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集英社文庫が、「ナツイチ」キャンペーンを現在展開中。「文学はじめました」のコピーで、AKBのメンバーとコラボのようなかたちで作品をアピールしている。AKB48のメンバーが「ナツイチ作品を読んで読書感想文を書く」とのことで、メンバーそれぞれが課題図書を一冊選んでいる。文庫本の帯に、そのメンバーの顔写真がある。ただしAKB48だけではなく、NMBやSKEそしてHKTのメンバーも入っているし、研究生もいる。今回、私が駅前の書店で選んだのは2冊。そのうち一冊は、帯にある顔がわからない。調べてみないといけないのだが、AKB48のメンバーや研究生ではない。
そしてもう一冊。お目当てはこちらだったが、『ダダモ博士のNew血液型健康ダイエット』である。旧版は持っている。健康な食材でも血液型によって効果がでなかったり逆効果だったりするので血液型によって摂取すべき食材も変わってくる。そこを丁寧に解説しているのだが、アメリカの本である。日本とは事情も違う。また食習慣の違いから、健康被害が出る場合もあるので、外国のダイエット本は、有効かどうかむつかしいことがある。実際、ダダモ博士によれば、B型は、食材に制限があまりないので、他の血液型に比べれば自由に食材を選べると書いてあって安心したら、たとえB型はトマトを食べると血液が固まるとのこと。なにかこの本を読むと、一般に健康によいと考えられている食材が、B型にだけは悪いものばかりで、がっかりする。
トマトだけではない。トウモロコシもだめ。アボカドもだめ。また肉は鶏肉がだめ。鶏のささみとか胸肉は健康的なダイエットのときの定番取材だが、B型はそれもだめ。肉は豚肉もだめで、あとは牛肉だけを食べるべきなのだという。しかし、それでいいのだろうか。ダダモ博士に従うと、食生活は、どの血液型でも、制約が多い不健康なものになりかねないと思う。
と同時に、この『ダダモ博士のNew血液型健康ダイエット』を課題図書としてしているのは、誰かというとAKBのメンバーではなく、帯の写真をみてはじめて気づいたおだが、AKBグループのメンバーでもなく、あろうことか、戸賀崎智信である。といっても誰だということになりかねないので、ここで確認しておくが、戸賀崎智信は、AKBグループの総支配人である。なんで、その総支配人がナツイチ・キャンペーンに参加させられているのか。この本の帯にいわく――「文学、始めました。ナツイチ」とある。なんじゃこれは。そもそも『ダダモ博士New血液型健康ダイエット』は、文学じゃないし。戸賀崎総支配人、どういう感想文をかくつもりなのだろうか。
なお、キャンペーン中は、AKBメンバー課題図書になっている集英社文庫を購入すると、特製ブックカバーをもらえる。2冊買ったので、いくつかあるなかから2つ選べと書店のカウンターでカタログを示された。ほんとうは島崎遙香・横山由衣のペアのカバーが欲しかったのだが、ちょっとそれを選ぶと趣味かと思われるのが恥ずかしかったので、カタログの最初と2番目のカバーを選んだ。まゆゆのカバーのついた文庫本のカバーをとると、戸賀崎総支配人の顔の帯がでてきて、血液型別健康ダイエットの本となる。文学、始めていないし、ちょっと面白いと思っている。
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