以下の記事が概要をまとめている。
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かまいたち濱家、薬剤師への不適切発言を即謝罪もノーコメントの山内は延焼…“対応力” でわかれたコンビの明暗
3/2(土) 19:40配信
かまいたち・濱家隆一が、3月1日に自身のXを更新。2月28日に放送された『これ余談なんですけど…』(ABCテレビ)での不適切な発言について謝罪した。
この日の放送では、「せっかち関西人200人に聞いた『あの瞬間イライラするわぁ~』」というテーマでトークを展開。元アジアンの馬場園梓が、ゲストとしてスタジオに登場した。
山内健司が、医師の診察後に調剤薬局へ処方箋を持っていった際、薬剤師から「どうされたんですか? お熱もあるんですか?」と医師の診察時と同じ質問をされ、イライラしたエピソードを紹介。「あれもう全然いらん時間やなって思っちゃう。しんどいから、はよ薬渡して帰らせてほしいのに」と語った。
この発言に対し、濱家は「薬剤師さんも医療に携わっているから、一応、医者憧れみたいなものがある」と共感。馬場園も「わかる。そいつに言ったって薬が変わるわけではないからね」とコメントした。
放送終了後、一連の発言がSNS上で “薬剤師軽視” として炎上。
《「あの時間イライラするわぁ」の話題で、「薬剤師がなんで症状きくねん」「今聞いたかてお前処方変えられへんやろ」「医者への憧れから聞いてるだけ」「黙って薬だけ出せ」等暴言オンパレード。これを出演者の爆笑と共にそのまま電波にのせるのはテレビ局として終わってるわ》
《薬剤師は薬のエキスパートです。医者よりも詳しいこともざらにあります。日々処方ミスがないよう一人一人丁寧に確認し責任をもって仕事をしてくださっています。医者が量や飲み合わせを間違えない訳じゃないから口頭での確認はとても大切なんですよ。最後の砦です》
など、批判的なコメントが多数書き込まれた。
これを受けて、濱家はXで《処方箋の件、考えなしに失礼な事言ってしまいました 薬剤師の皆さん、本当にすみませんでした》と謝罪。濱家の対応には、励ましの声も寄せられている。
《濱家さんのお陰で薬剤師さんの重要性が再認識したので逆に良かったです 発信力があると色々大変やと思いますが応援してます》
《薬剤師です。全然問題ないです むしろ制度として改善されてほしい点でもあるので、こうして影響力のある方に問題提起をしてもらえてありがたいぐらい》
《制度上どうしても患者さんからしたらムダと思われることも聞かないといけない反面、デリカシーない薬剤師も多いのでそういった患者心理がうまれるのは当然と思います。気にしないでいいくらいと思います》
いっぽうで、謝罪していない山内に対しては批判的なコメントが増加している。「濱家さんの炎上対応はお手本ですね」と語るのは、大手広告代理店関係者だ。
以下略
省略したのは、かまいたち山内のほうが謝罪していないから駄目だと批判。対応力の違いだの、謝罪はすぐすべきだとのと偉そうな、だがどうでもいいコメントが続く。
この問題は、かまいたちの濱家隆一氏のほうが、3月7日、自身の公式X更新し、薬剤師をめぐる番組内での発言を改めて謝罪したことにより、その真摯な姿勢と謝罪とが高く評価され問題は終わったように思われる。だから、以下、私がどのように考えようが問題をこじらせるつもりはないことは明言しておきたい。
「山内健司が、医師の診察後に調剤薬局へ処方箋を持っていった際、薬剤師から「どうされたんですか? お熱もあるんですか?」と医師の診察時と同じ質問をされ、イライラしたエピソードを紹介。「あれもう全然いらん時間やなって思っちゃう。しんどいから、はよ薬渡して帰らせてほしいのに」と語った。」ことに対しては、私自身全く同感である。いちいち病状について説明させられるのは不愉快だしつらい。というのも医師に対しては高熱があって咳も出ると自分の症状を正直に正確に伝えようとする。それに対して医師からの説明は、医学的知識がない私としてはわからないことも多い。そのよくわからない病状なり病因なりを薬剤師に対して説明するのはめんどうなことこの上もない。
私自身、調剤薬局で薬を出してもらうときに、あれこれ聞かれて戸惑ったことがある。それまでは病院内の薬局で薬をもらっていた。その時は、症状についてあれこれ聞かれることはなかった。いつもの病院内の薬局がなくなったため、調剤薬局を探すことになったので、母が存命中から利用していた薬局で薬を購入することにしたのだが、そこで、いろいろ症状を聞かれ、少々面食らった。薬剤師は一人ではないのだが、特定の薬剤師がいつもうるさく聞いてくるので、私は薬局を変えた。ちなみに自宅から最寄りの駅までに調剤薬局はたくさんあるので、よりどりみどり。母の存命中から使っていた薬局をやめて新しい薬局にかえた。
山内のコメントに対して、バカがこうコメントとしている:《薬剤師は薬のエキスパートです。医者よりも詳しいこともざらにあります。日々処方ミスがないよう一人一人丁寧に確認し責任をもって仕事をしてくださっています。医者が量や飲み合わせを間違えない訳じゃないから口頭での確認はとても大切なんですよ。最後の砦です》
薬剤師が薬を渡すときに丁寧に薬の内容と服用法について確認することは問題ないし、それは当然のことである。まちがいがないようにするために。この点について文句を言う者はいないだろう。私だって薬剤師による確認を不愉快だとか時間のロスだと思ったことは一度もない。山内自身、それを問題にしているのではない。
山内が問題にしているのは、「薬剤師から「どうされたんですか? お熱もあるんですか?」と医師の診察時と同じ質問をされ、イライラした」ということである。その質問は無意味で、もし薬剤師が「医者が量や飲み合わせを間違えていた」と判断したとしても、それを医者に言うのだろうか。患者のあやふやな答えだけで、医師に、その診断とそれにもとづく服用法が間違っていると進言できるだろうか。確かなデータもなく、患者のあやふやは受け答えだけで。
またさらに山内の発言をうけての濱家のコメント――「薬剤師さんも医療に携わっているから、一応、医者憧れみたいなものがある」というのは、失礼な言い方かもしれないが、一理ある。さらに馬場園のいう「そいつに言ったって薬が変わるわけではないからね」というのも的を射ている。要は、薬剤師が聞いても無駄なことを聞いてきているということである。
いや医師がまちがった薬を指定したらどうするのかという批判に対しては、それは医師の責任で、薬剤師の責任ではない。もし医師の処方した薬とは異なる薬を出したら、それは薬剤師のミスで、確認もれであり、重大な過誤として責任を追及されるが、医師のミスまで薬剤師が責任を負うことはない。
だが、問題はそこではない。タレントに個人情報である病気について質問するというのは重大な犯罪である。
私のようなクソ爺なら、持病などやまのようにあっても誰も驚かないだろうし、また私は有名人でもなんでもないので、薬剤師から病状・病名を聞かれても、またそれが他人に伝わってもなんの被害もない。しかし、かまいたちの両人は、テレビでレギュラーを何本ももっている人気タレントである。その二人に病状を聞くというのはなんという無神経な薬剤師なのだろう――もちろん私のような無名の人間でも病気に関する個人情報が洩れたら不利益をこうむる可能性は大きく、有名、無名は関係ないとしても。
薬剤師は、医師とか弁護士など同様、守秘義務があることは言うまでもない。かまいたち山内に「どうされたんですか?」と訊いてきた薬剤師本人が、守秘義務を無視して山内の病状を言いふらすとは思わないが、もしその調剤薬局に客がいて、薬剤師と山内とのやりとりを耳にはさみ、それをネッにでも公表したら、売れっ子芸人でもある山内にとって大きなダメージになりかねない。たとえ薬剤師に個人情報を漏らす意図はなかったとしても、個人情報が容易に知られる環境なり条件下で個人情報を問いただすことは意図的ではなくても責任を問われる過誤である。
繰り返すが、人気芸人だけにかぎらない。個人の病気というのは重大な個人情報であり、誰であれ、自分の病気に関する情報を薬局の受付でのやりとりのなかで聞かれたくはない。それを聞き出すのは、薬剤師側の重大な守秘義務違反である。どうしても知る必要があるのなら、誰にも話の内容が漏れない別室かなにかで薬剤師と患者の二人だけで確認すべきである。それを受付で「どうされましたか」と訊く薬剤師。無神経にもほどがある。謝罪すべきなのは薬剤師のほうである。
濱家の発言「薬剤師さんも医療に携わっているから、一応、医者憧れみたいなものがある」というのは、失礼な言い方で、差別発言かもしれない。これについて確認すべきは、薬剤師は、医者になりたくてもなれなかった人間がなる職業ではない。薬剤師は、薬剤師になりたくて薬剤師になったのだ。市会議員は、首相になりたくてもなれないから、市会議員になったわけではない。何か困難なあるいは高度な職業に就けなかった、あるいは挫折したから、現在の職業に就いたと想定することは(たとえそれが事実だったとしても)侮辱であり絶対に行なってはならないことである。
しかしまた何かを非難するとき、人格否定になる場合とそうでない場合とがある。おまえはバカだというのは人格否定である。おまえはバカなことをしているというのは、当人が本来なら賢明な人間なのにいまバカなことをしているということで人格を否定しているわけではない。もちろん理屈をこねまわせば、たとえ賢明な人間でも、バカなことをしてしまったなら、やはり生まれながらにしてバカだという人格否定ににもなるのだが、しかし可能性あるいは選択肢としてのおバカ行為の指摘は、最初から本質的にバカだと批判するのとは異なる。つまり「beingバカ」と「becomingバカ」の場合、後者にはまだ選択の余地、別の可能性が想定されるのであって、一方的な人格否定にならないかもしれないのだ。
医者のなりそこないの薬剤師というのは、薬剤師への侮辱であって謝罪を要することかもしれないが、薬剤師が医者のようにふるまっているという批判は、おまえ何様という批判と同じであって、強い、また失礼にあたる批判かもしれないが、人格否定にはならないだろう(法的な解釈ではなく、一般的な観点からの議論である)。ゆきすぎた言動への批判として、それが汝自身を知れというかたちになったときに、差別的な人格否定と受け止められかねないことは確かだが、同時に、それは「いいすぎました」程度の謝罪をするか、むりに謝罪しなくてもよい案件である。そもそも怒っているのは、そちらではなく、こちらであり、怒っている側が、事実誤認でもしていたらべつだが、なぜ謝罪するのだ。ふつうは怒られた側が謝罪するものだ。
薬剤師に対する差別というのが伝統的にあるのかどうか私は知らない。もしそれが根強くあれば、そうした差別に乗っかっての発言になって、これは批判されるべきだが、そのような薬剤師差別はないのではないか。むしろ、医療問題について私たちは、差別の加害者というよりも、差別の被害者になる側である。私たちは、薬剤師を含む医療関係者のほうに、どうか国籍・人種・民族・ジェンダー・年齢・職業・階級などで差別をしないでほしいと訴える側、弱い立場の人間である。医療関係者は、私たちの健康を、命を左右する強い立場にいる人たちであり、私たちの知られたくない秘密を握っている立場にいる人たちであるからには、どうか個人情報を慎重に扱ってほしいというのが、かまいたち山内・濱家の訴えであって、繰り返すが、なぜそれに対して彼らの側が謝罪せねばならないのだ。
英文学に登場する薬剤師あるいは薬屋のなかでもっとも有名なのはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』に登場する薬剤師である。もちろんこの薬屋は、ロミオに強く乞われて毒薬を渡すために、あまり褒められた薬屋ではないのだが、この薬屋、英語ではapothecaryという。これは現代英語でいうpharmacyの古い形ともいいきれないところがあるのは、当時のapothecaryは単に薬を売るだけでなく医療行為にも携わった。英文学史上もっとも有名なapothecaryはロマン派の詩人ジョン・キーツである。彼はapothecaryとして医療行為に従事できる資格をもっていた。医学の勉強もしていたキーツだが、正式な医師の免許はもっていなくて、apothecaryとしての免許はもっていた。したがってキーツは「薬剤師」であったというと誤解を生ずる可能性がある。
薬剤師も医師も西洋ではともに医療行為に携わっていた時代があった。現在では、薬剤師は医師のように医療行為に携われないが、しかし、薬剤師は医師と同様に医学や医療の知識はもっているので、現在、法的に禁じられているかどうか別に、薬剤師は可能性として医療行為に参加することも医師への医学的助言をすることもできる。だから医師と薬剤師との役割分担があいまいなグレーゾーンに踏み込むことが薬剤師の側にもまた医師の側ににもあるだろう。それが一般の私たちに戸惑いを生むのかもしれない。下手をすると越権行為とみなされるかもしれない。かまいたち山内と濱家のコメントは、薬剤師に越権行為だと批判しているのである。そしてたしかにそれは越権行為でもあるし、また許されている越権行為でもあるともいえるが、ただ個人情報の無神経な開示要求は許されるべきではない。いずれにしても、かまいたち山内と濱家が謝罪するような案件ではまったくない。
実際、最初に記事にもどれば、
放送終了後、一連の発言がSNS上で “薬剤師軽視” として炎上。とあって、《「あの時間イライラするわぁ」の話題で、「薬剤師がなんで症状きくねん」「今聞いたかてお前処方変えられへんやろ」「医者への憧れから聞いてるだけ」「黙って薬だけ出せ」等暴言オンパレード。これを出演者の爆笑と共にそのまま電波にのせるのはテレビ局として終わってるわ》とコメントするクズ野郎(女性かもしれないが)こそ、終わっているクズである。そもそも「終わっている」という表現自体、キャンセル・カルチャーで生きているクズであることをゆくりなくも証明している。
これを受けて、濱家はXで《処方箋の件、考えなしに失礼な事言ってしまいました 薬剤師の皆さん、本当にすみませんでした》と謝罪。さらにその後長文の謝罪文も発表し、その真摯な姿勢が高く評価されたことは、すでに述べたとおりだが、この記事によれば、「濱家の対応には、励ましの声も寄せられている」とあって、以下の3つのコメントを紹介している。
《濱家さんのお陰で薬剤師さんの重要性が再認識したので逆に良かったです 発信力があると色々大変やと思いますが応援してます》
《薬剤師です。全然問題ないです むしろ制度として改善されてほしい点でもあるので、こうして影響力のある方に問題提起をしてもらえてありがたいぐらい》
《制度上どうしても患者さんからしたらムダと思われることも聞かないといけない反面、デリカシーない薬剤師も多いのでそういった患者心理がうまれるのは当然と思います。気にしないでいいくらいと思います》
もしこのコメントがほんとうに薬剤師の方からのそれならば、薬局での薬剤師の質問にはするほうもされるほうも戸惑いがあることがうかがえる。私のように問われてもいい加減な答えしかしておらず(もしくはいい加減な答えしかできない)、そのあげく不愉快だから薬局を変えた人間もたくさんいるかもしれない。薬剤師の側からは義務として聞いているのかもしれないが、こちら側からすると個人情報の暴露、越権行為という観点から受け止めてしまう。このことは医師の側が全く知らない問題であって、それを提起してもらった「かまいたち」の両人には、むしろ感謝すべきであろう。また薬剤師もバカではないので、この騒動を知って、調剤薬局での対応についても反省と改善を試みているはずである。
「デリカシーない薬剤師も多いのでそういった患者心理がうまれるのは当然と思います。気にしないでいいくらいと思います」というコメントがあった。これが大人の対応だろうか。しかし「気にしないでください」というのは黙っていろというやんわりとした命令である。この命令は、ネット上でいちゃもんをつけるだけが楽しみな人格破綻者たちに対してこそ発せられるべきものだろう。