以下の記事に着目した。
「解雇通告」の瞬間をTikTokに投稿した女性に賛否。CEOが釈明する事態に
ハフポスト日本版 2月14日
会社からオンラインで解雇を告げられた女性が、明確な理由のない解雇に抗議する場面の動画をSNSに投稿し、話題となっている。
投稿したブリタニー・ピーチさんは、アメリカの大手IT企業に勤めていた。同僚たちが次々と解雇される中、自らも人事とのオンライン会議が設定されたのを受け、カメラを回したようだ。
【中略】
一方、動画が転載されたX(旧Twitter)では、「解雇通告を録画してTikTokに載せるなんて、こんな人は絶対雇わない」「この動画は、彼女の将来を台無しにするよ。業界は狭いし、動画はすぐ広まるからね」などの否定的な声や、「会社が短期にたくさん人を雇うと、残念ながらこうなるんだよね」といった意見もあった。
この動画は広く拡散され、ピーチさんが勤務していた会社のCEOがXで声明を発表する事態に。CEOは「動画は痛々しかった。解雇通告には上司が常に関与しているべきだ。人事もだが、全てを任されるべきではない」と話し、今回の解雇通告は「もっと親切に、人道的に行われるべきだった。今後改善に注力する」と締めくくった。
一方、一部のXユーザーに将来のキャリアを心配されていたピーチさんだが、それは余計なお世話だったようだ。ピーチさんはビジネス系SNS「LinkedIn」のアカウントで、2月頭にすでに新たな職場が決定したと報告している。
解雇通知を受けた女性が冷静に会社に反論をする詳細については動画あるいはこの記事を通して知ることができるので、興味がある方はどうぞ。
ただ上司でもない外部の人間が解雇通知をするというのは、映画『マイレージ、マイライフ』で扱われていたことを思い出した。
『マイレージ、マイライフ』(Up in the Air)は、ジェイソン・ライトマン監督による2009年の映画(日本公開は2010年)。ウォルター・カーンの2001年の同名小説を原作としてライトマンとシェルドン・ターナーが脚本を執筆。企業の「ダウンサイザー」である主人公(ジョージ・クルーニーが演じる)が解雇を告げる旅をつづけるという物語。共演はヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ダニー・マクブライドなど。主人公と組む新人のパートナーがアナ・ケンドリックだったが、彼女はこの映画で着目されて、以後、いろいろな映画に出演・主演することになったと記憶している。
この映画は解雇通知を受ける社員の驚きや悲しみや怒りをそのつど真正面からとらえるという特徴があって、解雇される社員の数はかなりの数に上る。物語の展開とは別に、この解雇通知の瞬間が痛々しくもあり面白くもあり、観てはいけないのだがついつい観てしまうという隠微な喜びを味あわせてくれた。しかも解雇される人たちの表情には妙なリアリティがあって、そのわけはあとからわかった。
というのもあとで調べたら解雇通知の場面、演技ではなく、本物だった。実際に解雇通知を受け取った人たちの表情を映画は撮影しているのである。解雇された時の衝撃は、そのなんともいえない表情は、絶対に演技では出せないものがある。
それを思うと痛々しくて、二度と観ることができないのだが、未見の人は、どうぞみてください。物語の内容もさることながら、解雇通知を受けた瞬間のリアルには――べつに大声でわめいたり罵ったり号泣したりする場面などないのだが――衝撃を受ける。
Wikipediaによれば「映画はナショナル・ボード・オブ・レビュー賞やワシントンD.C.映画批評家協会賞で作品賞を獲得した。放送映画批評家協会賞では8つの候補を獲得して脚色賞、ゴールデングローブ賞では6つの候補を獲得して脚本賞を受賞した。アカデミー賞では6つの候補を獲得したが無冠に終わった」。評価は高い。面白い映画。ただし痛々し映像については、お奨めしないが