ブラナー・シアター・ライブで『冬物語』をみる。東宝シネマズ日本橋で、見そびれたので、吉祥寺のオデオンでみる。ロンドンのウェストエンドでのギャリック劇場での公演を録画したものだが、はじめてみるギャリック劇場の内部は、けっこうこじんまりしていて、一階席は、オデオンの客席フロアよりも狭いかもしれない。また椅子も堅そうだが、劇場としては、ちょうどよい快適なサイズかもしれない。
シェイクスピアの『冬物語』については、期待がたかまったが、正直なところをいえば、前半は面白かった。そして、これは後半への期待をいやがうえにももりあげたが、後半のボヘミアでの羊の毛刈り祭りのシーンは、まあ、まあ、こんなものだと思ったが、最後のクライマックスが、やや物足らない気がした。どうしてだろう。ブラナーをはじめとして、俳優たちの力演には文句はないが、また、舞台そのものも想定内の展開であって、不満はないのだが、この不思議な作品の最後の大団円に感動しなかった(感動しないような演出なら、それはそれでもいいのだが、そうではなかったので)。
原因は問うまい。ジュディ・デンチに気を遣いすぎたのではとも思うのだが。とはいえこの作品を、場面の省略もなく、原作通りの展開で上演してみせたということに対しては、模範的な舞台とはいえるだろう。NTライブもそうだが、これもDVD化はされないかもしれないが、されたら教材としては、理想的なものだろう。と同時に理想的な教材になるということが、逆に、欠陥かもしれないのだが。
なお『冬物語』については、このところ毎年のように論文を書いていて(その一部はネットでも読める)、いろいろ書きたいことがある。数日間、『冬物語』について書かせてもらう。
つづく